アパレル(洋服店)のバイトでは、基本的にそのお店で売っているブランドの服を着てお仕事をします。
勤務中に着る洋服は、社割で通常よりも安く買えるようになっているのが一般的。
自分の好きなブランドの洋服が安く買えるのはうれしい反面、新作の洋服が出るたびに購入するように促され、給料から洋服代として勝手に天引きされると、納得がいかない人も多いのではないでしょうか。
お店によっては「買うお金がないなら有料で貸し出して、給料から天引きする」とルールを決めていることもあります。
では、アパレルバイトで洋服を買わせたり、有料で貸し出して給料から天引きするのは違法ではないのか?この記事で詳しく解説します。
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おかしい!バイト先が販売ノルマ未達成分の自腹を要求、無視できる?
アルバイトにクリスマスケーキや恵方巻などの販売ノルマを課し、達成できなかった場合に不足分を自腹で買い取らせたり、給料から差し引くことは違法です。
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給料から天引きは基本的に違法
給料から洋服代として天引きするのは違法です。
労働基準法は、「賃金の支払いの5原則」の1つとして「全額払いの原則」「賃金の通貨払いの原則」を定めています。
以下は、全額払いの原則の抜粋です。
全額払いの原則
賃金は全額残らず支払われなければなりません。したがって「積立金」などの名目で強制的に賃金の一部を控除(天引き)して支払うことは禁止されています。
給料から洋服代を差し引くことは、給料の未払いと見なされ違法となります。
つまり、例外を除いてバイト代から洋服の購入または使用料として勝手に天引きすることはできません。
洋服代の天引きが違法とならない場合
洋服の購入または使用料の天引きが許されるケースもあります。
法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
上記は、労働基準法24条1項より抜粋です。
つまり、
- 採用時の契約書や就業規則に洋服代の天引きについての定めがある
- 労働者が天引きに同意したうえで採用・労働している
と言った場合には、バイト代から洋服の購入代や使用料を天引きすることは違法とはなりません。
たとえば、「ウチのショップでは洋服代を給料から差し引くからね」と宣告されており、それに合意していたら違法となりません。
洋服代の天引きが違法となる場合は?
洋服代の天引きが違法となるケースもあります。
洋服を買わされたり、使用料を天引きされることに同意していたとしても
- 高額な洋服を買わせる
- 頻繁に買わせる
- 使用料(レンタル代)が高額
といった場合には違法になるケースがあります。
たとえ就業規則に明記されていたとしても、バイト代が洋服代ですべて消えたり、足りなくなってしまうようでは問題です。
まとめ
洋服の購入代や使用料として、給料から勝手に天引きするのは原則として違法です。
ただし、アパレルバイトにおいては、洋服の購入代や使用料を給料から天引きすることに関して、契約書や就業規則に記載があると思います。契約書や就業規則に記載があり、本人が合意したうえで働いているのなら、違法となりません。
例外として、洋服の購入費や使用料があまりにも高額であったら、違法性が疑われます。この場合、労働局や労働基準監督署に相談しましょう。
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